高温部品の品質検査

60メートル先までの計測グレードの選択スキャン精度で、#ATS600 #レーザートラッカー #LaserTracker は、Leica Absolute TrackerATS600は、生産の新しいエリアにも、時間および原料の節約の可能性を切り拓きます。

技術記事 - Leica Absolute TrackerATS600、パート 2

Hot steel on conveyor in steel plant.測定テクノロジーが発展し改善するにつれ、生産エリアにも、品質検査が浸透してきています。メーカーでは、効率向上のため、計測グレード測定ツールの導入の試行を進めています。そのアプリケーションの一部は、鍛造が完了したばかりの部品など、例えば極端な高温など、すべての測定器の範囲を超える過酷な環境が含まれています。

大型構成部品の鍛造では、最終ワーク鍛造品が希望の寸法にできるだけ近いことを保証するため、測定テクノロジーへの投資は大きな利点を持ちます。 一方で鍛造品を設計許容差内に収める機械加工負荷が過大になるため、オーバーサイズの鍛造は、時間と材質のロスに結びつきます。他方で、小さすぎる鍛造品はさらに重大な問題です。最終部品に対して一ヵ所でも寸法が足りなければ、部品全体をスクラップする必要があるからです。これはもちろん時間と材質の大幅なロスに結びつきます。

この課題では、寸法検査が自然な解決策として求められています。しかし、極端な高温が含まれているため、これまでは困難なプロセスでもありました。大型金属部品の鍛造で見られる1000°Cの温度には、典型的な計測ツールでは耐えることができないためです。

Steel ingot in hydraulic forging press.Leica Absolute TrackerATS600は、最先端技術のレーザートラッカーで、長距離直接スキャン機能によって、この問題にソリューションを提供できます。直接スキャンは、トラッカーが60メートルまでの距離から10分の1ミリメートル範囲の精度で表面上のポイントを正確に測定できる機能です。

熱した部品から離れた距離での測定が可能なため、ATS600なら極端な高温でも問題は発生しません。また、きわめて高温の部品上でも、精度をサブミリメートル・レベルに維持できることで、これまでの典型的な方法と比較し、部品を最終的に要求される寸法に近づけて直接鍛造できるようになります。

この直接スキャンは、レーザートラッカーの中でも、ATS600固有の機能です。これは、計測用地上レーザースキャナーによる半球スキャンとも類似していますが、精度が著しく高く、さらに広域用データを収集しフィルターするのではなく、選択スキャンでより小さな測定エリアをターゲットとする能力を備えています。

さらに、ATS600は、標準計測ソフトウェア・プロセスとの統合でより即時に結果を提供できます。これにより、名目上の寸法値と実測値の直接の比較が可能になります。

Rotary clinker cement kiln.鍛造行程で正確な測定を行なうためのアプリケーション上の問題は、高温だけではありません。セメント工業では、キルン・アラインメントは重要なルーチン作業です。セメント・キルンのミスアラインメントは、過度の力を引き起こし、ギヤ、ベアリング、ライディングリングおよびローラーなど、構成部品の摩耗に結びつくおそれがあります。これはキルンの予定寿命に到達する前にキルン故障が発生し、非常に高額の費用が発生する危険性があります。

また、キルンのミスアラインメントは、故障い至る前の段階であっても、より多くの時間およびリソースを消費する、非能率的なプロセスに帰着する場合があります。キルン・ステージは、セメント製造工程で大きなエネルギーを消費し、温室効果ガスを発生させるステップであるため、産業では効率向上が切望されています。

したがって、アラインメントは非常に重要ですが、この問題はシンプルではありません。水硬性セメント生産では、パイルプロセスステージで高温が発生します。プロセスのあるポイントでは、キルンが、最大1450°Cに達することがあります。

Calcium carbonate turning furnace with large pipe at cement plant.ここでも、ATS600とその直接スキャン機能は、離れた距離から選択されたエリアを正確に測定する能力で、この問題へのソリューションを提案します。キルンが加熱された状態では、アラインメントを確認し修正する反射器または目標をシリンダー全体に置くことは確かに可能ではありません。

そこでパノラマ・イメージングとATS600のラインスキャン方式を活用すれば、キルンのうち、アラインメントの定義に必要なエリアのみを、シングルユーザーだけで、シンプルかつ高速に測定できます。定期的にこまめなアラインメント・チェックを行うことで、高性能を保証し、不必要な摩耗を縮小できるようになります。

直接スキャンを広範囲の産業にわたり効果的に適用することで、2019年のATS600の発売以来、生産の新しいエリアへの進出の道が着実に開かれてきました。品質エンジニアと生産エンジニアの間で、この画期的な計測テクノロジーの浸透がすすめば、さらに多くのより興味深いアプリケーションの可能性が実現することに、疑いの余地はありません。